でぃーてぃーえむっ☆

僕は影が薄い。
だけどそれは却って都合が良かった。

<家:PCの前。動画サイトの投稿画面を見る主人公>
・今回もクオリティー高ぇwwwww
・中学生ってホント?
・釣りだろ
・中学生だとしてもかなりいい音源ソフト使ってるし、ボンボンだな
・勝組裏山
・インストだから再生数伸びないな。ボカロとか使えばいいのに
<再生数に視線を移す>
2,097

学校での、ましてやクラスなんていう狭い世界での自分はそれほど重要じゃない。
ネットでの評価こそが、紛れもない僕の“価値”なんだから

<翌朝:学校>
転校生の紹介
西秋めぐる

主人公の隣の席
明るく声をかける転校生
生返事な主人公

お昼、早々に屋上に行く主人公
曲を作りながら昼寝
起きるとパソコン画面を見ながらイヤホンで曲を聴くめぐるが。
驚く主人公。
(しまった…最悪だ)
「アンタ、こんなえらいやつやったんね!!」
「え、えらい…?」
「あぁ、ウチ興奮すると京都弁がまだ出てしまうさかいに…」
「そうなんだ」
「こんな才能あってうらやましいわ…」
「そ、そんな才能とかじゃないよ…別に…」
お腹が鳴る主人公
「ぷっ…早くしないとお昼終わっちゃうよ。私もお弁当教室だから、戻るけど、また来てもいい?」
「別に…」
「ホント?他の曲もあったら聞かせてね!約束!!」
強引な指切り。
めぐるの後姿と、微かに温もりが残る小指をみつめる主人公。
「変な奴…」

教室に戻っためぐる。
「なぁ、明日○○君もお昼誘わない?」
「えー冗談でしょ?○○とか暗いし何考えてるのかわからないし」
「ってかぶっちゃけ空気っしょ」
バカにしたように笑う女子生徒。
「転校して来たばっかの私がいうのも変だけど、○○君話すときっと面白いよ!すごい音楽の才能だってあるし」
「音楽の才能?なにそれマジウケるw」
「そういえば小学校の文化祭で合唱やった時、先生がピアノ伴奏に指名してたけど、あいつ本番で上がっちゃって何にも弾けなくて、代わりに先生が弾いてたんだよねー」
教室に戻ってくる主人公。駆け寄るめぐるに
「人のことあんまりベラベラ喋らないでくれるかな」
そう言い放ち、すれ違う二人。




【つづく】

back